アフリカハイギョのシングルセルトランスクリプトームから魚の陸上適応を明らかにする

 ハイギョは現生魚類の中で最も陸上脊椎動物(両生類や有羊膜類など)に近い生物である。その名の通り肺を持っている魚である。エラも持っており、エラと肺、両方で呼吸ができる特殊な魚である(他にもポリプテルスなどが同様に肺とエラ両方持っている)。  また、一部のハイギョでは水が干上がった乾季などにおいては泥…

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ポリプテルスの寄生虫、ポリプティの駆除薬

リフィッシュ

研究室で飼育しているポリプテルスにポリプティ(種同定は行っていないが、他の魚への寄生が見られないことから)が発生した。 ネットで調べると「リフィッシュ」が良いとのことでリフィッシュを買おうとしたが2023年現在既に廃盤となり、入手困難である。今回は運良く近所の店に最後の1つがあったが、今は手に入らな…

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2年ぶり再訪! 進化したカワスイ

以前カワスイ(川崎水族館)のオープン初日に行ったというレビューを書いた。後輩に「めちゃ書くやん」と言われて読み返すとたしかに……。しかも最後に「再訪する」と書きながらもなんやかんやで2年近くが経過してしまっていた。今回再び訪れる機会があったのでレビューをしたいと思う。 オープン初日は長蛇の列→空いて…

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ハイギョの繭は生きた細胞で、外環境から身を守る

ハイギョは最も両生類に近い、現在生きている魚である。 「生きた化石」とも呼ばれ、またその名の通り肺を持つ魚としても知られている。 肺を持つ、ということは空気呼吸が可能であり、陸上で生活できることが知られている。 実際、アフリカや南アメリカに生息するハイギョは陸上で生き延びることができ、乾季になると土…

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枝が長い系統樹の注意点 – Long Branch Attraction

分子系統樹を作成する時、特に何も考えずにツールに突っ込んで得られたデータの樹形を見ているということはないだろうか? 系統樹に関する既知の問題点として「Long branch attraction」という現象が古くから(50年くらい前)知られている。ロングブランチアトラクション、の日本語訳はまだ当てら…

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外鰓とは何か? – 進化的起源と役割

ウーパールーパーという両生類がいる。英名はアホロートルというのだが、日本では何故か「ウーパールーパー」と名付けられたというかわいそうな(かわいい)生物である。 さて、動物園や水族館、そしてお父さんお母さん世代の人気者であったウーパールーパーの特徴はなんと言ってもその「外鰓」である。あのビラビラした顔…

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【速報】ポリプテルスとアフリカハイギョのゲノム解読

ポリプテルスゲノム 2021年2月4日付で、Cell誌にポリプテルス・セネガルス、アリゲーターガー、ヘラチョウザメ、アミア・カルヴァなどのいわゆる「下位条鰭類」「古代魚」のゲノムが解読されたという論文が掲載された。 Tracing the genetic footprints of vertebra…

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中立進化説をわかりやすく

木村資生(きむらもとお)が定式化した分子進化生物学で最も有名かつ基本的な概念、「中立進化説」についてざっくりと一般向けに解説を行う。 分子進化生物学における進化とは? 遺伝子(あるいはゲノム)の塩基配列の変化、というのが進化を最も端的に表す言葉となる。ここでは簡単のため、タンパク質に翻訳される遺伝子…

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魚と両生類の間 – 現在生きている魚と比較して

私は魚と両生類の間でどのような進化が起きたのかを研究しているのだが、私と同じような興味を抱いている人間は一般の人にも多く、度々「魚の手足の起源!」「両生類に似た魚!」みたいな話がニュースサイトに取り上げられるたびにTwitterなどで少し話題になったりする。 最近だとNatureに掲載された&#82…

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