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【速報】ポリプテルスとアフリカハイギョのゲノム解読

ポリプテルスゲノム

2021年2月4日付で、Cell誌にポリプテルス・セネガルス、アリゲーターガー、ヘラチョウザメ、アミア・カルヴァなどのいわゆる「下位条鰭類」「古代魚」のゲノムが解読されたという論文が掲載された。

Tracing the genetic footprints of vertebrate landing in non-teleost ray-finned fishes
Xupeng Bi et al., 2021

https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(21)00089-1

ポリプテルスのゲノムは条鰭類の進化を解き明かす上で長らく謎に包まれたままであった。近縁種のアミメウナギ(Reedfish)はゲノム公開が行われていたが、実験に用いにくいという問題点が存在した。

今回公開されたゲノムは染色体レベルでアセンブルされたものであり、肉鰭類(シーラカンスやハイギョなどを含む陸上動物の系統)と比較したときにモザイク状のゲノムを示していることを明らかにした。

また肺呼吸の獲得というものが、顎口類(顎のある脊椎動物)の共通祖先の段階で獲得されたということを示した。

ポリプテルス・セネガルス

アフリカハイギョゲノム

前回の記事においてオーストラリアハイギョのゲノムが解読されたこと、そしてそれがNature誌に掲載されたことを報じた。

しかしオーストラリアハイギョは最も原始的な形質を残していると言われているものの、条約で保護されている都合上、実験には用いることができない、そして陸上での飼育ができないという問題点が存在した。

しかしポリプテルスのゲノムが公開された日と同日、また同じCell誌にアフリカハイギョのゲノムが解読されたという論文が掲載された。

African lungfish genome sheds light on the vertebrate water-to-land transition

https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(21)00090-8

前回のハイギョがオーストラリアにのみ生息するのに対し、本種(Protopterus annectens)では陸上での飼育がある程度可能であるということが知られている。オーストラリアハイギョと比べたときに肺呼吸への依存率が高く、また乾燥体制があるために乾季には繭を作って泥の中で乾季を越すという習性がある。

アフリカハイギョもオーストラリアハイギョと同様に巨大なゲノムを持っており、今回は40Gbのゲノムをアセンブルした。対してオーストラリアハイギョでは42Gbであったため若干ゲノムサイズは小さい(誤差レベルだが)。

これにより実験に用いることができるようなハイギョでもゲノムが読まれたことから実験とゲノム解析両方の面から研究を推進できるようになると考えている。というかやっていく。

こんかいのこれも染色体レベルでアセンブルされているため、オーストラリアハイギョとの比較、そして陸上動物や魚類との染色体レベルでの比較が可能となる。嬉しい!

アフリカハイギョの一種

世は魚類陸上進出時代

最近のハイギョゲノムラッシュ、そしてポリプテルスゲノムの解読により「陸上進出前の魚類」の解明がより一層進むであろうと期待している

現生両生類の中でも最も祖先的な系統であるアシナシイモリのゲノムも相次いで公開されたことからその「ライン」の解明がどんどん進んでいくはずである。進んで欲しい。