生物系博士課程の就活について簡潔に(IT・製薬・アカデミア)

後輩に頼まれたので軽く私の経験も交えつつ、博士課程の就活についてまとめておく。

IT系

とりあえず自分がITに向いているかどうか、実際にプログラミング経験を積んでおくと良いと思う。簡単なアプリケーションを作ったり、AWSやGCP、Azureに触れたりして自分たちが普段触れている技術の裏側への理解を少しでも深めておくと良いと思う。大学でコンピュータサイエンスを専攻していないような、私のような生物系一本でやってきた人の場合、基本情報技術者試験などを取得することである程度の能力の提示はできるかと。LINEなどコーディングテストを課しているところもあるので、AtCoderなどで対策もしておくといいかもしれない。

製薬

研究業績や、自分の研究分野、どのように製薬に寄与できるかといった能力が必要となってくる。特に自分の研究が工学寄りだったり、基礎生物寄りだったりする場合はどういった視点で創薬に関われるかを常日頃から考えておくとベター。大手の製薬系の研究職を目指す場合、博士号はベターではあるが必須ではない。また博士取得見込みで入社する人もいる。その場合は給与は修士卒になるので注意。

ただこれもITと同じく、自分に向いているのかどうか今一度考えてから受けたほうがいい。生物系の就職先の花形ではあるようだが、やっぱり「薬」という出口が存在している以上、色々と指針として自分の興味と相談しながら考えたほうがいいと私は思う。給料がいい、とはいうが、正直博士卒で月30万。正直同年代に修士卒でIT系に行った人と比べると少ない。IT系やコンサルに行けばその倍は提示されるので、自分のこれまでの経験を活かしたいのか、あるいは給料を取るのか、色々と悩みどころは多い。

アカデミア

単純に業績が必要なのと、(主に人間関係において)柔軟な立ち回りが要求されるので難易度は高い。

上2つの業種とは異なり、いわゆる「博打就活」だと私は考えている。漫画、音楽などの芸術系にも同じものを感じるが、「スター」のように華々しく成果を上げていく道だけでなく、細々と生き残る手立ては色々あるので血に染まった生活をしたくない人でもゆるりと生きられる場所はある。最近めっきり若手が忌避するようになったので競争率も低くなりつつある。学振PDとかは年々倍率が減少している。

それでは、実際にどういうスケジュールで動いたらいいか。

D1

研究に集中する。論文を書き、できるなら修了要件を満たしておくこと。余裕があるようなら資格などを取得しておく。

D2

春になると夏のインターンの募集が出る。特にIT系は募集が早い。GAFAMなどもこの時期。日本のメガベンチャーもこの時期にあった。書類と面接があり、コツがそれぞれあるので先輩に訊くなりして情報を集めておいたほうがいい。軽い気持ちでもいいので、とりあえず数撃ちゃ当たるといって数社受けたほうがいい。

大学からの情報も見逃さずに集めておく。企業もいい人材を確実な方法で囲い込むべく大学と提携している。近年では特に文科省手動のプロジェクトなどで長期インターンを博士課程のプログラムとして立ち上げているものも多い。長期インターンシップに参加できたからといって選考に必ず通るわけでもないため、諸刃の剣といった感じだが、社会経験がない、インターン経験がないならやっておいて損はないと思う。製薬会社のサマーインターンシップはこの時期、あるいは6月ごろにかけて募集が行われる。国内大手製薬はそんな数がないので、受けるならば確実にチェックしておくこと。

インターンはできるだけ大手、たとえベンチャーに行きたいと思っていたとしてもGAFAMなどに通ったならそちらを優先したほうがいい。大手でのインターン経験が面接時のアピールの材料として使える場合もあるからだ(場合もあるという点に留意)。大手の選考に通っているだけの実力はあるだろうとして大きなふるいにかかる可能性が高まる。

インターンに出すESやコーディングテストは大変だが、うまくこなしつつ研究も行おう。研究の習慣を失った者は研究者にはなれない。

もしIT企業を受けるのであれば、基本情報技術者試験くらいは持っておいたほうがいい。製薬企業に関してはアピール材料にはなったかと思うが、私自身製薬に関する知識はないので、製薬・創薬の技量はあまり見られておらず、研究能力自体を測られているのだと思う。だから論文を出して目に見える業績を出しておくと強みになる。製薬研究職に通った他の人を見ると、大抵は会社がほしい技術を採用している、といった傾向が見られる。私のような基礎生物や生物外の人間は極稀にしかいない。会社によっては採用する大学の地域も結構格差がある。シオノギなら阪大、関東に本社を置く大手製薬なら東大などと繋がりが深い。実際、パイプが存在する研究室もあると聞く。そこは、最初から製薬会社に入りたいのであれば大学・研究室選びからしっかり計画している人が有利かな……。

サマーインターンシップを受ける。数社を受けてもいいし、一社を長期間受けてもいいと思う。とりあえず一ヶ月程度でもいいから、会社というものがどういったものなのか、知ることで今後の自分の指針を決める材料を得ることになる。

ただインターンシップばかり行って研究がおざなりになっているようではよくないので、研究も頑張ろう。特に長期インターンの場合は指導教員からの理解も必須である。「自分さえ良ければ」みたいな考え方を出していると後輩に影響を及ばせることになるので、よくよく考えて。

製薬企業は夏の終わりごろに本選考がある。通常はここで選考が行われるので必ずエントリーすること。IT企業もこのあたりから秋にかけて選考が行われる。

内定が出始める頃なので、うまいこと言い訳しつつ、内定を集めてどこに行くかを決めよう。この時期に博士の中間発表もあるはずなので、研究も抜かりなく。

もし内定がないようでも、今度は次のインターンシップが出る時期でもあるので必ず情報を集めておくこと。

内定が揃った頃、それを踏まえてアカデミアに進むかどうかを考える頃合い。研究をして論文を書こう。

製薬はここでもまた次の本選考をしている場合があったので、もし内定がない場合でも応募する先を探そう。

アカデミアに残ろうか迷っている人はここで学振PDを書く必要があるため、逆算して色々とコネクションを作りに学会に出たり研究室訪問などを済ませておく。

D3

春・夏・秋

研究をしよう。博士論文を書きましょう。健康に気をつけて。

アカデミアにする人はポスドク先の候補とするような分野、研究室を絞りつつ、実際にコンタクトを取って今後募集を行うかどうかを確認していったほうがいいかもしれない。

ここでアカデミアの就職が始まる事が多い。ポスドクは研究費などに左右されるため、どうしてもギリギリになってしまう。「自分の未来が決まらないと不安で仕方がない」という人は民間に行ったほうがいいと思います。

JREC-IN で公募などが出ているので、D3になったら常にチェックしておくこと。また、学会の懇親会で興味のある研究室の先生に話をしておくなど、コミュニケーションも非常に重要です。

また、民間に行きたいにも関わらず博士号が取れるかどうかわからなくて就活をしそこねた人はここの冬の本選考で事情を説明することで採用して貰える場合がある。最後まで諦めずにどこかしらにアクションを起こしていきたい。

公聴会に向けて博論を書き、体調を整えて挑むこと。体は資本です。

頑張ってください。

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