他大学(外部)から東工大大学院に合格して ~勉強法と参考書~

  • 2018/09/28 初稿
  • 2020/10/11 ページレイアウト変更、情勢の変化に伴い加筆修正

前回の続き。

傾向の変化への対策

曰くB日程は「筆記でほぼ全てが決まる」ということらしいので、勉強する他無い。勉強するに当たってまず「敵を知る」ことが重要となる。敵とはこの場合東工大の院試だ。その院試の過去問を解いていくことによって傾向が掴め、やるべき勉強が見えてくる。

過去問はここからダウンロードできる。

数年前の制度改革で生命理工学系内で入試が統一されることになった。そのため「傾向」が変わってしまい、入試対策がしにくくなってしまった。もちろん改革以前の入試問題も公開はされていたのでそれも分析対象とした。

入試の過去問をとりあえず全部解き、「解答」を用意する。これだけでも十分な勉強となる。きちんとした解答を作り上げるということはそれだけ知識と文章の構成能力が必要となる。まずここを行った上で、必要な知識を抑えていく。数年分やっていけばどういったモノが問われているのかが見えてくる。

私の場合は「広い知識」が自分に足りないと判断したため、いくつかの基本的な教科書を読むことにした。

生物と有機化学を選択することができるが、私は生物を選択することにした。というか有機化学わからないので消去法である。

教科書の選び方

生物系の院試の鉄板といえば「THE CELL」である。その分厚さ、詳しさ故に「俺はやったるぞ」って勢いで学部の入学して日が浅い意識の高いうちに購入し、挫折する人間が後をたたない罪深い本である。

もう少し薄い「Essential 細胞生物学」なるものもあるが、まあ似たようなもので、要はこの卒業研究もあって大学院入試もあるという状況でやるべき本ではないということだ。

そして何より「細胞生物学」に絞った内容である。一応他の部分も色々網羅はしてあるが、何より広すぎる。おそらく入試には出そうにないマニアックなものまで網羅されているのでこれを片っ端から勉強するというのは非効率である。

この手のものは細胞生物学に限らず分子遺伝学などもあるが、院試突破だけには重すぎる。

ただ、これを勉強して入試を突破した人間は多いし、良書であるということに間違いはない。私は心が折れることがわかっていたので手を付けなかったと言うだけである。

もちろん院試突破後には研究生活が待っているわけで、そのためには前提となる知識が必須であるのでこれらの本を勉強しておくことはまったくもって損ではない。

院試突破におすすめの教科書3選

入試の傾向から鑑みるに、割と幅広い分野の知識が必要であると考えた。そこで私は基本的な教科書を3冊用意し、それで入試問題の過去問の解答を作っていった。

私はフルカラーでイラストがないとやる気があまりでないタイプの人間なので、フルカラーかつイラスト多めの本で揃えた。

以下にその3冊を紹介する。

基礎から学ぶ生物学・細胞生物学 第4版

私が現役の頃は第3版だったが、新しい版が出ていた。

この本で細胞生物学はだいたい網羅されている。特にこの本では免疫系についてちゃんと書かれているのでそこで免疫系を抑えた(たまに出題される)。他にも細胞分裂や代謝なども触れられているのでパラパラとめくりながら要点を確認していくと良い。

基礎から学ぶ遺伝子工学 第3版

やっていてかなりの良書だと思った。遺伝子に関す事柄の基礎部分からきちっと抑えてよく実験において使われる技術や手法を網羅してある。よく東工大の院試では実験の手法についての出題がなされていたが、例えばHisタグなどの基本的な事柄を抑えておかないと解けない。この本でも網羅されていることなので学部でそういう講義を取っていなかった人は抑えておく必要がある。

分子生物学をやるようなラボ……というかもう今は結構Casを使った分子遺伝学的手法を取るところが多くなってきているので、きちんとこれからでも抑えておく必要がある。院試に通るためと言っても、進学先でまたあれこれ1から学ぶのと既に知っているのとではワケが違う。2020年にノーベル賞でcas9が取り上げられたので出るかもね(しらんけど)。

はじめの一歩の生化学・分子生物学 第3版

基本的にほとんどの問題をこの本に頼った。大体の事柄、特に1冊目に紹介した本の内容も少しカバーされているくらいには割と広い範囲をカバーしている。1冊目の方と迷ったらこちらをおすすめする。

毎年の傾向として、アミノ酸や代謝あたりが出る傾向があるが、それもきちんと抑えてあるため、見返すときに楽である。

***

以上3冊をうまく読み回し、院試に合格した。

全部買うとちょっと高いので図書館で借りて読んだが、2冊目の本はこれからも使うだろうということで購入した。

これに加えて大学の生化学のノートをちょくちょく見直したりしていた、が、これも本に書いてあることである。東工大生であったら自分の講義ノートを見返すことが合格への近道となるであろう。

勉強して受験後の感想

当日はどうだったかというと……

新院試制度になってから3年目、単純な知識問題は結構削られたかなという印象だった。計算問題や実験考察が印象に強く残った。まあそれでも解けた感じがした。

ただ、私が生物のみで受験した中、周りの内部生たちは「有機化学」を選択している人が少なくないようで、「簡単だった」だの呟いており、いささか不安な気持ちを抱えながら大岡山駅へと向かった。

結果としては合格だったので周りの話を真に受けてはいけない。

> 面接の話に続く

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です