一眼レフを手放して散々悩んで買ったX100Vがとても良いという話。

このサイトのトップバナーの画像などはすべて私が撮ってきた写真の一部である。

こんなのとか

これらは主にEOS系、つまりCanonの一眼レフカメラを使って撮ってきた。先日、私が所属するラボのWebサイトのデザインを一新したが、その際にも私が撮影した動物の画像を使用したところ「水中カメラで撮影したのでしょうか」と問い合わせが来た。水中ではなく水槽のガラス越しであるが、十分に綺麗に撮れているのではないだろうか。

基本的に大学に入学してからはEOS 6D + EF 24-70 F4Lのセットで使い続けてきた。このレンズはいわゆる大口径レンズではないのだが、写りは非常に良好でマクロのような切り替えもできるため、水族館など接写が必要な場面においても活躍していた。

しかし、大きな欠点を抱えていた。

重いのである。

重いゆえに持ち出す機会をどんどん失っており、年間殆ど撮らない日が多く続いていた。最後の方では40mm F2.8のパンケーキレンズをつけっぱなしにして旅行に持っていくなどしていたがそれでも大きかったし重かった。


なんやかんやで6年使い続けてきたEOS 6D

軽いカメラの検討

デジカメ歴は長く、小学生の頃にお年玉でおもちゃのようなデジカメを買って、高校生の頃にEOS kiss X5 で一眼レフデビュー。そこから10年近く一眼レフを使い続けてきた。

しかし世はミラーレス時代。Canonも一眼レフからミラーレスへとシフトすることを発表しており、現在も一眼レフで新製品を出し続けることを言っているのはPENTAXくらいなものである。

私としてはやはり電子ビューファインダー越しの「映像」ではなく、生の反射光を見たい。10年近く続けてきたこの習慣を変えられはしないだろうという老害さながらの条件でカメラを探していた。

EOS 6D mk2もあるが、mk1より重いので却下。70Dとかそっちに下げるのもなぁ……とか考えていたとき、富士フイルムの製品が目に入った。

「うわなんだこれかっこいい」

というのが第一印象。レトロなものが好きなので、その外見に惹かれた。というか外見オンリーでこのメーカーにしようと決めた。

最初迷ったのが、X-T30にするかどうか。一眼レフスタイルのものだが、もちろん光学ファインダーはついていない。ただ圧倒的に軽かった。気に入っていたのが上のダイヤル、いわゆる軍艦部。クラシックカメラのようにシャッタースピードダイヤルがついており、フルマニュアルでカチカチとダイヤルをいじりながら撮影できる。EOSでは絞り優先でほぼすべての写真を撮っていたのでこれは面白いと思った。



あと見た目がいい。聞けば、フィルムシミュレーションというフィルムを再現するような機能も搭載されているという。もうこれフィルムカメラライクの現代版じゃん! って思い、新宿に新しくできたカメラのキタムラの中古ショップへ足を運んだりして眺めたりした。学振通ったら買うか~とか言いながら。

フジノンレンズの最短撮影距離の問題

しかし色々と調べているうちに、XマウントのレンズでCanonのEF 24-70 F4Lほど寄れるレンズがマクロレンズ2本くらいしかラインナップにないことを知った。基本的に殆ど寄れず、テーブルフォトなどに適さない。私としては毎日持ち歩いて食った飯の画像とかを残しておきたい、そして何より生き物の写真を接写で撮りたいという目的があったためそれは外せなかった。

XCレンズなら多少寄れるものはあるが、やはり使うならばあの「絞りリング」をカリカリといじりながらやりたいものである。却下。

そこで「X100V」が浮上してきた。

最初はレンジファインダーカメラは外していた。X-proシリーズのあの「撫肩デザイン」が気に食わなかったからである。なんでSSダイヤルを斜めにしたし。X-E3もなんか見た目がスタイリッシュじゃない。

X100Vはレンズ交換式カメラではないので最初全く目に入っていなかった。しかし一目惚れだった。かっこいいじゃんこれ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

しかも最短撮影距離が10cmである。10cm? マジ? めっちゃ寄れるじゃん!

最短撮影距離が長いと正直ピントが合わないとかで身体を引くなどしなければならず、フラストレーションが溜まる。できるだけ短いものが良かった。

「私、近接撮影メインだからもうレンズ交換しなくてもこれでいけんじゃね?

ということで、購入を本格的に検討。季節はX-T30を検討していた春からもう秋に差し掛かっていた。しかしいつまで経っても買う踏ん切りがつかない。店に足を運んでも「本当にこの焦点距離一本で大丈夫なのか?」と迷ってしまう。

そこで私は富士フイルムのレンタルサービスを利用して一日の間無料でX100Vを借りた。

それで撮った写真がこれ。

まず話題となっていた「クラシックネガ」を試した。

いい……すごくいい……

モノクロもいい

最高の一日であったことは間違いなかった。ただ、バッテリー切れがひどく、モバイルバッテリーを持っていたから良かったもののなかったら途中で撮影ができなくなっていた。おそらくレンタル機なのでバッテリーも結構劣化しているのではないかと思われる。

もうこれでX100Vを買う決心はついた。あとはいつ買うかだ。

ウダウダと「論文Acceptされたら~」とかAcceptされたらされたで「論文が正式に掲載されたら~」とか行ってダラダラと伸ばしていた。というのもコロナ禍のせいで撮影機会もなかったのである。

X-E4の登場

そうこうしているうちに修士論文のシーズンとなり、発表を終えたら買おうといよいよ決めた。そして発表を終えるも「安いときに買おう」とて価格コムにずっと張り付いていた最中、X-E4が発表された


X-E4はX-proシリーズやX100Vと同じくレンジファインダーカメラ系統である。これもひと目で気に入った。見た目がかっこいい。シュッとしたデザイン。巷ではライカライカだと言われているが、私はライカのカメラのデザインは好きではないのでむしろこっちのほうがカッコいいとすら思っている。

これは真剣に悩んだ。レンズを交換できるX-E4は最大の強み。FujiRumorsに張り付いていたので事前に知っていたとはいえ、「SSダイヤルにISOダイヤルが搭載されていない」というやつ。これはX100Vのほうがいい。

実際に実機を触りにも行った。「カシャ」というカメラっぽいシャッター音が大変気に入った。実はわたしはシャッター音へのこだわりも強く、X100Vを早々に買えなかった理由はX100Vのシャッター音が実質存在しないからである(リーフシャッター)。電子音もあるが、どれもチープでダサい。ファームウエアでお願いします富士フイルムさん。

対してX-E4は気持ちがいいシャッター音……撮っていて気持ちがいいのはX-E4なんだろうけど、所有する喜び的なものはX100Vなんだろうなと思うともうどちらを買っていいのかわからなくなった。

あとはオールドレンズとか使えるのもX-E4いいよなぁって思っていた。

一年近く散々悩んだ挙げ句、結局X100Vを購入した

X100Vを買ってよかったところ

近接撮影(マクロ)ができる

「最短撮影距離」これがまず第一に最高である。

レンズボディ一体型だからできることであるが、最短撮影距離10cmはかなり使いやすい。大抵のテーブルフォトはきれいに撮れる。レンズの解像度もF2から綺麗である(が、私は多少絞って使う)。

ズーム自体も、デジタルテレコンがついているのでまあ問題ない。ただズームレンズというか普通の焦点距離が長いレンズと違って圧縮効果とかよりボケるとかそうしたものは期待できない。ただのクロップ。

最大撮影倍率的にはマクロとは言い難いが、それでも寄って取ることができるので、水槽に対して近づいて映り込みを避けることができる。

これもX100Vで撮影

OVF(光学ファインダー)が使える

光学ファインダーを使わない人は結構いるようだが、自分はこの光学ファインダーを割と使用する。風景やスナップのときはこちらのほうが撮っているという感じがする。ただマクロのような近接撮影ともなるとパララックス(見えているものと実際の写りとの差異)がひどいのでEVF(電子ビューファインダー)で撮影する。

色味とか、露出とか、そういうのを大雑把で許せる人は割といいと思うし、フォーカスモードによっては右下に枠が表示されて一部のみ電子ビューファインダーというやり方も可能である。ただ画面全体にオートフォーカスという設定にするとそれが無効になるので、富士フイルムさんファームウエアアップデートでお願いします。

あとOVFがあるためにカメラの正面デザインがめちゃくそかっこよくなってる。最高

めちゃ好みの外見

カスタマイズが楽しい

フイルムシミュレーションがついているため、色々と様々な雰囲気の写真を作ることができる。楽しい。めちゃ楽しい。

基本EOS時代もRAW現像はしてこなかった。ファイルサイズでかいし、面倒くさいから。カラーだけ強く出すとかそういうのだけしていたが、富士フイルムは既にそういうもののプリセットというか、雰囲気のプリセットを用意してくれている。

Qボタンで自分好みにカスタマイズした値のものを使用できるので、実際のフィルムを再現しようとし、レシピを公開している人もいる。こういうので自分好みのカスタマイズが細部まで可能である。

自分的にクラシッククロームの色合いが好みだ

フルサイズ一眼と遜色のない画質

EOS 6Dはフルサイズ一眼だが、それと比べても画質は全く劣っていないと感じる。暗所ではもちろん微妙な場面も出てくるが、基本明るい被写体を撮るので。

それでいてフルサイズ一眼よりかなり軽くてコンパクトなので、毎日カバンの中に入れていても全く苦にならない。かなりの頻度で撮るようになった。3ヶ月で5,200枚も撮っていた。

楽しい~!

外見やフィルターのカスタマイズ

外見に惚れたカメラだが、その外見も更にカスタマイズできる。レンズ交換式ではないので、サードパーティ製のものが多く発売されている。また、過去のX100シリーズのものも使えるものもあるので結構な製品が存在する。私も散々レンズフードを角型にするか迷ったが丸いやつにした。

あとはカメラストラップも似合うものをと思い緑のものを。かわいい好き。

それと単焦点49mmのレンズが固定であるので、フィルターも色々とそれに合わせて揃えていける。これでレンズ交換式だったらあのレンズには合わない、新しく買わないと、なんてことがあるので。

私はかねてより評判が良かった「Kenko ブラックミスト No.05」をたまたまAmazonで購入することができた。それをつけて撮影を度々していたが、逆光のときに最高の画を出してくれて以来大好きなレンズフィルターになった


さいごに

はい、ということでね。

X100Vへの熱い思いを書いてきたわけだが、これからも愛用していくカメラになると思う。

次世代機への要望としては、「フォーカスリングのシャリシャリをなくして欲しい」「AFがワイドなどであっても右下にライブビューを出せるようにして欲しい」「手ブレ補正の追加」くらいである。本当にいいカメラ。手ブレも愛おしいけどね。

富士フイルムのカメラは他にも色々あって試したいなあと思うものの、なかなか買うことができないものなので、チャンスを虎視眈々と狙っている。次の論文Accept祝いということで(気が早い

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