もうずいぶん前の話だが、せっかくなので書き留めておこうと思う。
明日香村は控えめに言って最高だった。関西で一番いいところ。写真を振り返りながら「エモい」「エモすぎる」しか言っていない。
前の神戸旅行(卒業旅行)から2日後、定期券も切れたし引っ越しの準備もあるしでどうしようか悩んでいたが、朝粗大ごみを出さなければならないということで早起きできたので行くことに。
京都市営地下鉄烏丸線と近鉄奈良線を乗り継いで、橿原神宮前駅へ。そこでレンタサイクルがあるとのことで明日香レンタサイクルで借りることに。ずっとGIANTのクロスバイクを乗っていただけに、ママチャリは久しぶり。ふらつきながら走った。めちゃくちゃブレーキの効きが悪くて制動距離がめちゃくちゃ長かった。
それでさらに「5時までですので」って言われて今は11時過ぎ。「そんな早く閉まるんですか……」というと「いやいや、長くても2時間位で回れちゃいますから」とおじいさん。そうなのかと思い、出発する。渡されたモデルコースも長くて2時間だった。
丸山古墳(五条野丸山古墳/大軽丸山古墳/見瀬丸山古墳)
まずは丸山古墳へ。
おおおおおお
古墳! 古墳である。それっぽい駐輪場はあったが誰もいない。一眼レフを首からぶら下げている奴なんで私以外いない。後ろを振り返れば普通の住宅がある。そんなところに丸山古墳はあった。
盛り上がっている土を登り、しげしげと雑木林を眺める。古墳。いいじゃん。
ぐるりと回りつつ写真を撮っていく。
上に乗っててもなんとなく前方後円墳ということはわかった。ただ残念というか、当然ながら石室は見れない。昔は土砂崩れで偶然入り口が露出したらしく、私が生まれる前に少し話題になったそうだ。
結局結構長居してしまった。
植山古墳へ
今度は植山古墳が近くにあるということでそっちに言ってみることに。
いい感じの風景が明日香村ではいたる所にある。最高。
こんな感じに解説があるが……
残念ながら石室はブルーシートがかけられていて特に中は見れなかった。
植山古墳は公園として整備されていて、自転車でも頂上に登れるようになっている。まだ工事中のところもあるけど。結構きれいに整備されていたが、肝心の古墳がこれじゃあ、あんまり見る気はしないよね。犬の散歩くらいしか見なかった。
さて、流石にお腹が空いたのでまだまだ見るところもあるが後で見ようということでとりあえず予定していたレストランへと向かう。
……が。そこまでの道のりも結構きれいな景色があり何度も足止めを食らってしまった。
明日香村自体にそもそも食べれる場所がそう無いので選択肢はないのだが、レビューとかいろいろ見て良さそうなここ、「めんどや」に決定。
せっかくなので少し高いよもぎにゅうめんセットを注文した。
「おお」と声を上げた。いい。素晴らしい。こういうのもっとちょうだい
柿の葉すしが大好物なのですが、こちら自家製の柿の葉すし。美味しかった。
もちろんにゅうめんも美味しかった。具材がゴロゴロ入っていた。たしかこれで1500円だったはず。
大満足し、店内の売店で少しお土産を買って店をあとにした。
食後は近くの飛鳥宮跡(伝飛鳥板蓋宮跡)へ。
特に何もなかった。柱の跡や溝など。結構小さかった。
飛鳥寺
次は飛鳥寺。日本最古の本格仏教寺院とのこと。
見て分かる通り畑の中にぽつんとある感じ。これがまた最高にそそる。
梅の花の季節で、寺の境内でも見頃を迎えていた。
こちらが飛鳥寺の大仏。よくこういうお寺では撮影禁止なことが多いが、ここはなぜかOKとのことだった。とても神秘的であった。
住職の話を聞くと、寺自体は何度も消失しているらしいが、この仏像だけは建設当時(飛鳥時代)からずっとここにあるとのこと。だから私は当時の人達と同じ座標でこの仏像を見ているということである。仏像ができた当時は金箔が貼られ、黄金の仏像であったが、度重なる火災や、火災によって家屋が消失することで野ざらしになり金箔は剥げてしまったとのこと。大仏を見ても焼けただれた感じの跡が残っていた。
隣は聖徳太子の像があった。
オモシロイと思ったのが飛鳥寺の伽藍復元図。昔は五重塔もあったらしい。こんなに立派な頃のものを是非見てみたかった。生まれる時代を間違えた。本当に。
さて、十分飛鳥寺を満喫したあとは今度は飛鳥坐神社へと向かう。街並みが最高。もうずっと興奮状態。
飛鳥坐神社
境内に入り、結構な階段を登ったさきに力石。結構こういうのどこにでもあるけどどこ発祥なんだろうか。
写真からこのエモさが伝わるだろうか。いや、伝わらないことがあったとしたらそれは実際見に行くべきだ。
と、じっくり回っているところで15時。17時にレンタサイクルに返しに行かないといけない。やばいやばいということで飛鳥資料館をパスして万葉文化館へ。
万葉文化館とおじいさん
迷いに迷ってようやく万葉文化館へ到着。自転車置き場に自転車を置くと、同じく駐輪場に自転車を置いたおじいさんに声をかけられた。
「君どこからきたの」
「京都です」
「どこの大学?」
「京都ほげほげ大学です」
「あぁ~! ほげ大ね! すごいじゃん」
みたいな会話をしつつ、おじいさんが近所で売っていたというポンカンをくれた。少し案内と世間話をして、私は資料館に入っていった。
よくある旅先の「地元民の優しさ」ってやつに初めて触れてもう明日香村世界一やという気分になり完全にキマってしまっていた。
最高の気分で万葉文化館に入ると常設展示入館料無料ということでもうキマリまくっていた。
で、これの展示が面白いのなんの。片っ端からビデオを見て解説を読んで劇場を見てとかしていたらもう出る頃には日が傾き始めていた。
やばい。
小学校の修学旅行で明日香村に以前一度来たことあるのだが、綿密に計画を立てたにもかかわらず当日は土砂降りの雨。結局ほとんど回れなかったという記憶がかすかにあるだけ。行きたかった石舞台古墳も行けていなかった。
京都を離れる前にそれだけは、その昔抱いた夢だけは叶えておきたい――そう思い自転車を全力で漕ぐ。
夕暮れ時の明日香村の美しい街並みをたった一人で走り抜ける。
本当はもっとゆっくり足を止めて写真を撮りたかった。
そして石舞台古墳へ
ようやく石舞台古墳につき、ダッシュで券売所へ行く。おばちゃんに「石舞台古墳、亀型石造物、高松塚古墳の共通検ください!」って言ったら「流石に無理です……もう全部17時で終わりなので、行けてもあと1つだけなのでそちらで買ったほうがいいですよ」と。
あああああああああああああああああああああああああああ
……
中に入れたんかこれ。
結構中は広かった。でもまあただの石組みって感じだった……
慌ただしく石舞台古墳をあとにして、全速力で高松塚古墳へと向かう。
そう、あの高松塚古墳だ。ちょうど修学旅行で明日香村に行こうとしていた頃、ニュースで頻繁に取り上げられていたあのカビた壁画がある高松塚古墳である。
なんとしてでも、あの明日香村のシンボルとも言えるあそこには行っておかねば――と重いママチャリのペダルを漕いだ。
高松塚古墳
高松塚古墳は古墳自体は見れるが中のその壁画はもう見ることはできない。ただレプリカが近くの資料館で見ることができるので閉館間際に滑り込み。
例の壁画のレプリカ及び副葬品を堪能した。
高松塚古墳は鎌倉時代に盗掘を受けているらしく、とても残念である。そのお宝はまだこの世界のどこかに残っているのだろうか、はたまた別のものに作り変えられたのか、どこか土の中に眠っているのか……。
最後に近くの中尾山古墳近くを散策して、帰ることに。もう出たのが16:50。もう今から借りた橿原神宮前駅まで帰ることは不可能。どこでも返せるということで飛鳥駅の明日香レンタサイクルへ返した。
説明を一切受けていなかったが他の営業所で返却すると200円取られるので注意してほしい。腹立つ。しかも最初の説明で2時間で回れるとか言っておきながら全然時間足りてないし。
ということで明日香村の日帰り旅行は終わった。泊まれるなら次は泊まりで行きたい。明日香レンタサイクルだけはもう使わない。次は輪行袋ちゃんと買って持っていきたい。
最後に。
明日香村最高!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
おしまい