先日,滋賀県の草津及び琵琶湖博物館へと遠足してきた.
その前日,京都を含む近畿では久々に雪が積もるほど雪が降った.
雪が溶けつつある中,慎重に自転車を漕いで学校に停め,地下鉄とJRを乗り継いで草津駅へ.これまで愛知に行く途中で度々過ぎた記憶はあるが,改札から出た覚えはない.
初めて草津駅に降り立った感想はなんとなく地元を思い出すようなちょうどいい感じの田舎感だった.
まずは腹ごしらえということで,事前に調べていた店に行くことにした.
商店街を通り抜け,
こういった歴史ある風景を目の当たりにして少し驚いた.草津にこういった観光名所的なところがあるだなんて予想だにしていなかった.
どうやら昔は宿場町で栄えていた地域らしい.
小さな通りを抜けると「その店」はそこにあった.
木波屋雑穀堂だ.草津駅近辺でランチができるところを調べていて偶然見つけた.町家を改装して飲食店にしたものらしい.
緊張しながらも扉を開けた.11時半と開店直後なこともあり,人気はなかった.
宿場町があったであろう江戸や明治といった感じの内装ではなく,古き良き昭和の時代を伺わせるものであった.
木波屋雑穀堂の名物なのかはわからないが,「木波御膳」というものがあったのでそれを注文.1,550円.ランチにしてはやや高いかと思いつつ,こういう機会はめったにないからなということで奮発した.
しばらく待っていると2人の客がやってきた.そしてその後も客がやってきた様子があったが,どうやら予約で一杯らしく追い返されていた.店内はそこまで広いわけではなく,ここを狙って来るにはきちんと予約をしてから来るべきであろう.私は単純に運が良かった.
メニューには「自然薯(じねんじょ)とろろご飯(七穀の雑穀米)」,味噌汁,まったり豆腐,揚げとろろ,本日のお肉料理,香の物と書かれていた.
「薄味でしたらこちらの醤油を」と醤油も配膳された.
冷めないうちにと写真を撮り終えてから(現代人の悪しき習慣)まずとろろご飯を口に運ぶ.非常にまったりとした口当たりとだしの良い風味が自然薯とともに口いっぱいに広がった.
もともと雑穀米が好きなのだが,それとの相性はこの上ないものであった.近畿にやってきて4年経つが,これまで京都で正直あまり美味しい食事に当たったことが無く,ここ滋賀県に来て最高の食事にやっとありつけたという感じである.
自然薯とろろご飯をゆっくりと味わいつつ,揚げとろろなるものに箸を伸ばした.
揚げとろろが何なのか私には全く見当もつかなかったが,口に運んでその得も言われぬ食感とのりとしその風味,抹茶塩との絶妙な味加減がこれまた最高なものであった.
間違いない,この店はホンモノであると確信した.
必ずやまたこの店に来ようと思った.
琵琶湖博物館に行く予定が詰まっているので,食べ終えてからすぐに店をあとにした.
来た道を返すのだが,やっぱり草津宿本陣もこの際だから見ておこうと思いたち,草津宿本陣へ.入館料は240円ほどだった.
撮影は資料や解説文などは基本禁止となっているが,邸内の風景を撮る分には問題ないらしい.ここまで厳しくしているのはなかなか資料館では珍しいが,何か理由があるのだろうか.
結構中は広く,いくつも建物が連なっている.
日曜日にも関わらず,私以外に客は誰一人いなかったので自由に見て回れた.
中でも面白かったのが一番偉い人が使うとされる「便所」だ.
漆塗りの便器まではいいとして,糞尿をする便所がこんな畳張りだったら「こぼした」時にさぞかし掃除が大変であったことだろう.
当然そんな偉い人が出した糞は肥料的にも価値が高いので引き出し状になっているそれから糞を取り出して市場へと出回る.
またこの宿は事前予約制となっており,半年ほど前から予約をして泊まる,といった形式だったようだ.
写真に上げた以外のものもいろいろ面白い道具や設備があるのでぜひ行ってみてほしい.立派な資料館も付属している.
さて,最後は琵琶湖博物館.むか~し行ったことがあるらしいが,正直覚えていない.湖畔にブラックバスの回収ボックスがあったのだけはなぜかよく覚えている.
「水族館!」っていうイメージが先行していただけに,こんな感じの博物館らしい展示もなされていてびっくりした.
日曜というだけあって9割は家族連れ,1割はカップルといった具合で,ぼっちの私は完全に浮いていたと思う.
このような琵琶湖と共に生計を立てていた人々の古民家を再現した展示も行われており,大変興味深い.
これは川の水を引っ張ってきて流しっぱなしになっている野菜を洗ったりするところなのだが,なんとここでコイを飼っていたらしい.皿についている残飯を食ってでかくなり,正月などで鯉料理にしていたらしい.環境浄化の側面もあり,一石二鳥であったという.
あとはまあ,琵琶湖に生息する生物の展示
が行われていた.
ただ,淡水湖というつながりでバイカル湖の魚の展示が行われていたり,他の世界の淡水湖の魚も展示されていたが,それほど展示の仕方に工夫があるようには見えなかった.
保全にも力を入れているらしく,ここで琵琶湖に生息する魚の繁殖を行っているようだ.
鮒寿司の材料ともなる「ニゴロブナ」は現在生息数も水揚げ量も激減してしまい,めちゃくちゃ高価な食べ物になってしまっている.ぜひとも資源回復を目指していただきたいものだ(鮒寿司おいしかった).
帰りに鮒寿司と赤こんにゃくを買ってJRと京都市営地下鉄.
充実した一日であった.