学振DCは個人事業主と同じ申告はできない(確定申告周り)

今年、令和3年(2021年)の学振から大幅に副業規定に関して規制がゆるくなった。そのため、受け入れ研究者の許可を取ることができればバイトなどが可能となる。

今回はそれの税金周りの話。かなり書き散らかっているのでいずれ直すかも。

私の状況

私は個人事業主(自営業)としてフリーランスエンジニアを務めている。そしてR3より学振への採用が決定した。昨年も既に白色で確定申告をしており、今年から学振によって大幅に収入が増えることとなるのでより節税効果の高い青色申告へと切り替えようかと考えていた。

学振の新しい手続きのしおりを隅から隅まで読んだところ、「会社などで社会保険が適用されるような働き方をしている場合(月給8.8万円以上だとか、XX時間以上勤務すること)は副業許可できない」ということについては書かれていたが、個人事業主の場合についてはそもそもその身分を有することができるのかどうかは不明であった。

まあ社会保険も何も無いし、学振以外における会社などの営利団体での正式な身分をもつことがないのであれば自由なのかなとぼんやり思いながら過ごしていたが、青色申告への切り替え検討で色々と調べると以下の記事が出てきた。

学振副業挑戦記#2

学振PDの方のようだが、学振に問い合わせて副業としての個人事業は問題ない旨を確認している。

まあじゃあちゃちゃっと手続きしちゃおう、と思って最近色々税務署やら学振やらに問い合わせたのでちょっとまとめておく。

学振の「研究遂行経費」と個人事業主の「必要経費」の落とし穴

ここで本来は会計クラウドを導入しました! という記事を書く予定であった。実際導入してしばらく使っていたが、どうにも気になったのが銀行口座と連携したときの「給与」の文字。学振とは雇用関係がないのだから、給与というのは建前上なのだと思い込んでいたが、手引をよく読むと給与としてちゃんと支給されている。

つまり、学振の研究奨励金に含まれる「研究遂行経費」は経費と名前がつくが、個人事業主の必要経費とは異なるということだ

個人事業主の必要経費

個人事業主の必要経費が何かよくわかっていない人のためにざっくり説明すると、得た収益からその収益を得るためにかかった必要な物品等の代金等のことだ。これを引いた額に対して所得税等がかかってくるので、これを計上するかしないかで納める税金が大きく変わってくることがある。

例えば、カフェなどで取引先と打ち合わせをした、という場合、その打ち合わせが業務の遂行に必要なものであった場合収益から必要経費として引いておくことができる。これによって、課税所得を減らすことができるというものだ。

本当に経費として落とせるかどうかは税務調査のときの税務官の判断に依るというが……。

学振の「研究遂行経費」

さて、学振にもそれと同じく経費と名のついた研究遂行経費が存在する。研究遂行経費もその名の通り研究の遂行のために必要な経費を計上することで節税効果を見込めるというものだ。

しかしこれは上記の個人事業主のものとは大きく根本から異なる制度である。

個人事業主の必要経費は確定申告の際に経費等諸々計算して税務署に申告する。しかしこの研究遂行経費は税務署に申告するのではなく、学振側に申告するものである。

学振側からは「給与所得」として月20万(から源泉徴収額が引かれたもの)が支給される。もうこの時点で実は必要経費も含めて支払いがなされているということだ。つまり、実質課税される所得としては月14万をもらっている。残りの6万は非課税という扱い。

ただ、年度末までに72万使われていないとその分追加で税金を納めないといけない……らしい。

懇親会費も必要経費から出せる?

個人事業主の必要経費だったら赤字等の繰越などもできるし、必要経費の範囲も例えば学会の懇親会費も経費に絶対入る。もちろん、研究機関への交通定期だって。

だったら確定申告時に「フリーランス研究者として学振側から依頼を受けて収益を得ており、その3割が経費に相当する」という風に申告すれば”経費”が本来の”必要経費”のような範囲で使用できるのではないか、と考えた。つまり、学振側が行っているであろう申告を個人事業のときのそれと同じように確定申告できないかということ。

結論から言うと、不可能であった。

学振側に問い合わせて確認したが、研究遂行経費は個人事業主の必要経費とは全く別物として計上する必要があるとのこと。経費と名がつくが、個人事業主の必要経費とは異なるもの。

うえ~~……

結論: 個人事業の経費と研究遂行経費はキッパリ分けよう

見出しの通り、分けて計算しておこう。

研究遂行経費は税務署に提出する必要はない。ただ、個人事業の場合と同様、レシートや領収書は取っておく必要がある。まあ細かく申告したりとかしないので、どの程度学振側が調査するのか、把握しているのかは不明。

個人事業をやっている人は当然のことだが、きっちり計上してきっちり納税しよう。確定申告のときは学振の「研究奨励金」は給与として扱う。もし口座を分けていないのであれば「事業主借」の仕訳をすれば良い。

色々とややこしい制度ではあるが、ちゃんと理解して利用することで、きちんと学振側が意図しているであろう恩恵にあずかっていこう。